鼻中隔湾曲症と副鼻腔炎、下鼻甲介の手術を行ったので、現状と感想を書いてみる。
1.経緯
もともと自分は、慢性的な鼻詰まりに悩まされていた。
学生時代から鼻が詰まっていたから、10年以上にわたって鼻が詰まっている人生を送ってきた。
鼻が詰まると息もできないし眠れない。
そのため、自分は早いうちから点鼻薬に頼るようになり、これが効果抜群だったので、いつの間にか点鼻薬が手放せない生活になっていた。トラマリゾンに何か特別な調合をしているとか何とかで、いつも同じ耳鼻科で点鼻薬をもらって、寝る前に点鼻薬を打つという生活だった。
いずれは抜本的な手術をした方がよいのではないかと思っていたのだが、点鼻薬を打つと鼻の通りが良くなってしまうので、時間やお金のことなどを考え、ズルズルと何年も放置していたような状況であった。
しかし、ふと、このまま一生点鼻薬が手放せない人生は困ると思うようになっていった。
自分の場合、どの点鼻薬でもいいというものではなく、いつもの耳鼻科で処方してもらう点鼻薬でないと却って鼻が詰まってしまうようなこともあったので、万が一、いつもの耳鼻科が閉鎖したりしたらどうなるのだろうという不安もあった。
そこで、意を決して手術を受けることにしたのである。
2.手術前
手術は、いつもの耳鼻科ではなく、近所だが手術に慣れていて評判のいい耳鼻科でやってもらうことにした。
手術前には鼻のCTを撮影したりするのだが、画像で見る限りでは、自分の鼻は肉か何かで内部が圧迫されていて、空気の通り道は結構狭くなっているようだった。医院長の先生が担当してくれるようだったのだが、自分より年上であろうが、エネルギッシュで優しい人で、小心者の自分は安心感もあったが恐縮する気持ちが強かった。
正直、手術前は憂鬱で仕方なかった。
点鼻薬を打てば、若しくは調子がいいときであれば別に打たなくても、鼻呼吸ができる状態であったため、手術日が近づくにつれて「やりたくないなぁ」という気持ちが増大していった。
私が行った手術は、命に関わるようなリスクは全く論じられていなかったのだが、とにかく術後が苦しいという噂が多く、なぜ敢えて苦しいことをしなければならないのだろうという気持ちは拭えなかった。
また、自分は心配性なので、手術中に鼻呼吸ができなくなることが恐怖で仕方なかった。かつてバリウムか何かを飲んだとき、なぜか口呼吸がうまくできなくなり、パニックになった経験があった。そのため、鼻呼吸もできずに口呼吸もできないとなると、自分は死ぬのではないかと荒唐無稽な不安を抱えていた。
しかし、あまり恐怖を訴えても格好悪いので、できる限り口には出さないように努めていた。なお、前日は絶対に眠れないと思っていたのだが、意外と睡眠できた。
3.手術当日
手術は朝の9時頃から行われた。
服は普段着でよく、特別な準備をしていったものではない。
マイナンバーカードを使えば高額療養費も別途の手続をせずに勝手に適用されるようで、初めてマイナンバーの便利さを感じた。
手術前に鼻の中に麻酔を入れられるのだが、局所麻酔だったので、麻酔が染み込んだガーゼを鼻にどんどん詰められた。麻酔は飲むと腹の調子がおかしくなったりえづいたりするようだったので、口に垂れていったものは吐くように言われたのだが、これが意外ときつかった。
ここから、自分の鼻から息が吸えなくなっていく。
結構怖くて震えていたのだが、鼻呼吸ができなくなっても口呼吸は問題なくできたので、呼吸問題は意外と平気だった。
左手に点滴を入れて手術室前で30分くらい待っていたと思う。
自分の前にも既に手術をしている人がいたのだが、その人はそれほど痛そうでもなく、鼻を軽く押さえて涼しげな顔で出てきたため、少し恐怖心は薄れた。
そして自分の番が来て手術が始まった。
局所麻酔なので意識ははっきりとしており、あわよくば眠ってしまわないかなと思っていたのだが、全く眠くならなかった。
先生からは好きな曲をかけられると言われたのだが、自分の好きな曲を伝えるのも恥ずかしく、頭の中もそれどころではなかったので、流れっぱなしになっている謎のクラッシックをかけ続けてもらった。
手術は最初からベッドの上で横になって始まり、目にはタオルをかけられ、口には水?が出てくる固いストローのようなものを噛ませられた。歯医者でも使うもののようだが、自分は歯医者に通ったことが無いため、最初は使い方がわからず、ちょっと苦労した。
手術は先生と会話しながら行われた。雑談をしていたわけではない。動いてはいけないと言われたので、何か要望がある場合には口で伝えなければいけないのだ。
手術をするまでいまいちわかっていなかったのだが、自分は3つの手術をやることになっていたようだったので、まずは下鼻甲介の手術から始まった(と思う)。
鼻の中に器具が入っていくのだが、何をやっているのかはわからなかった。ただ、口の中に液体が流れこんできていたので、恐らく切っていたのだと思う。
これは多くの人が言っていると思うが、他の2つも含め、切られたりしていても痛みは無かった。正確には、何か引っ張られたり叩かれたりする感覚は強く感じるため、何も感じないということは決してないのだが、「切られて痛い」という感覚は無かった。
ただ、問題は口の中に流れ込んでくる液体である。恐らく血なのだろうが、結構流れてくるので、ストローに吸ってもらわないと気持ち悪くなる。
自分が慣れていないせいもあったのかもしれないが、このストロー吸引が非常に疲れた。噛み続けていないといけないし、飲んではいけないと神経質になってしまい、鼻よりも口に集中しているような状態だった。
こんな状態で呼吸ができるのかというのが心配だったのだが、意外と呼吸は普通にできて、息苦しくてパニックになるなどということは無かった。
目にはタオルをかけられていて目を瞑っているので何が起こっているのかはわからず、時間もわからなかったのだが、気づいたら時間が過ぎているという感じだった。
20分くらい経ったというところで、先生から「第1段階が終わりましたけど、続けますか?」と聞かれた。痛みも無くて呼吸もできるのであれば余裕があるのかというと、そうではない。やはり手術中なので、なんだかよくわからないが頭の中はずっとパニックではあった。その中で「続けますか?」という言葉は衝撃だった。そこに選択肢があること自体に意味がわからず、「え? え?」と混乱した回答しか言えなかった。
先生が説明してくれたことを自分なりに理解するところによると、3つの手術はそれぞれ独立しているので、患者の状態によっては計画を変更して3つのうち1つだけで終わらせたりすることも可能とのことだった。
正直、この時点でだいぶキツかったので、本気で止めようかとも思ったのだが、何のために来たのかもわからないし、結局また手術をするのも嫌だったので、続けてもらうことにした。
次の手術は鼻中隔湾曲症の手術で、これが印象的だったのは、骨を削っている音だ。ゴリゴリとした音が聞こえてきて、骨を切っている感じが何となくわかるのはちょっと怖かった。ただ、相変わらず痛くはない。削られたり叩かれたりして、その衝撃は感じるのだが、痛みは無かった。
最後は副鼻腔の手術だ。これは最初の手術と同じで、何か切られているであろうことがあり、口の中に血液が流れてくるの繰り返しだった。
最終的には1時間くらいの手術だったようだが、あっという間だったような、しかしかなり疲れたような、不思議な時間だった。
鼻には大量のガーゼを詰められ、綿球を詰められ、鼻呼吸の一切が不可能になり、待合室で休むことになった。この時間はとにかく口の中に血が流れてくるので、血をペッペと吐き出す作業の繰り返しだった。
自分の前後で手術を行った人たちよりも、確実に自分が一番大げさな感じがあって、少し恥ずかしかった。
1時間か2時間くらい休んだ後、先生が様子を見に来てくれて、帰宅ということになった。
ここからが本番なのだが、長くなったので一回区切ることにする。